ところで、もしそうなったら、それは今回の場合が、日銀利上げと為替の関係としては例外的なものということになるだろう。基本的にこれまでの実績では、日銀利上げはネガティブ・インディケーターであり、本来円高にはならない。その原因は、おもに2つあると私は思っている。
FX取引、FX初心者、くりっく365、FX口座開設、FX資料請求一つは「円高恐怖症」ということ。利上げが必要になるのは、普通景気回復局面だが、そこでは普通「金利上昇=通貨高」となる。しかし日本では「円高恐怖症」が強く、円売り介入が本格化することが多い。その中で、円高を後押しする可能性の高い利上げはやりにくい。
利上げができるようになるのは、円高一巡後ということになるが、その時はむしろ景気は減速局面に転じつつある。そこで利上げをすれば、景気を必要以上に減速させる、つまり金融政策が後手に回ってオーバーキルにつながるといった最悪パターンになり、その結果円安はさらに加速しかねないということだ。
もう一つ、日銀利上げが後手に回ることが多かった原因は、やはり日銀の独立性の弱さということだろう。政府や政界からの圧力に対して、利上げが遅れがちになるということだ。
では、今回も「too little too late(遅すぎて、小さすぎる)」日銀利上げは、本来の通貨高要因どころか、逆に円一段安のきっかけになってしまうのだろうか。これについては先に解説してきた。シカゴIMM統計などによると、円はかなり売られ過ぎの状況が続いており、その意味では円安にも自ずと限界があると思う。年明け早々の為替は、クロス円の軒並み急落といった波乱の幕開けとなった。この主因として、原油価格などコモディティー相場急落の影響といった「コモディティー本位制」の解説が目立つ。しかし、私はもう一つの主役として、「欧州通貨の1月リスク」があるのではないかと思っている。 昨年一年間を通じて、おおむね横ばい、小動きとなったドル円。それを尻目に、上昇相場が続き、軒並み最高値更新となったのがクロス円だった。ところが、そのクロス円が、年明け早々一転して急反落となった。
たとえば、ユーロ円、ポンド円は、それぞれ158円から155円割れ、234円から230円割れへ、そして高金利で人気の高いオセアニア通貨は、豪ドル「オージー」円が95円の手前から一転92円へ、NZドル「キウイ」円は、84円から81円へといった具合で、主要なクロス円相場は軒並み3%前後の急落となったのである。
この主因は、原油価格などコモディティー相場の急落との解説が多かった。原油価格(WTI)は、昨年来の安値を更新、一段安となった。この結果、原油相場で損失が発生した分を埋めるために、ヘッジファンドなどが利の乗った円売りポジションの手仕舞い、FXつまり円買い戻しを急いだとされる。
確かに、ヘッジファンドなどの売買の目安とされるシカゴIMM統計によると、円の持ち高は1月3日現在で11.8万枚の売り持ちで、何と史上3番目の大幅売り持ちだ。つまり円はかなり「売られ過ぎ」懸念があったが、この多くは低金利円で資金調達し、それを高金利通貨で運用する円キャリー取引と見られた。
つまり、原油相場等での損失を埋めるための円キャリー解消は、まさにクロス円ポジションの逆流となって、それによってクロス円が軒並み急反落に転じたというわけだ。このような解説からすると、年明け以降続落した原油価格が、1月8日にいったん下げ止まり、その中でクロス円急落も一息ついたのは当然ということかもしれない。
ではこのように、年明けのクロス円波乱は、原油などコモディティー相場に連動した「コモディティー本位制」ということだけで良いのか。私がもう一つ、「影の主役」として注目しているのは「欧州通過の1月リスク」だ。
ドルの総合力を示す実効相場について、過去10年間の12月と1月の動きを調べて見ると、1月は8回ドル高、一方12月は7回ドル安といった具合に、「12月のドル安」、「1月のドル高」という傾向があることがわかる。
この原因は、12月決算期末の欧米企業が、12月にかけて本国へ資金還流させる結果ユーロ買い、ポンド買いが増えやすく、1月はその反動が入ってドル高・欧州通貨安になりやすいためなどと考えられている。
ところで、気になるのは、そんな具合に欧州通貨安になりやすい1月に、為替市場はどうやら逆の取り組みになっている懸念があるということ。シカゴIMM統計によると、ユーロ、ポンドともに記録的な買い持ち、つまり「買われ過ぎ」警戒領域にある。
本来下落リスクの高い1月に、欧州通貨がむしろ「買われ過ぎ」になっているといったことの「歪み」の源をたどると、先に見てきた円キャリーの急増、クロス円上昇の影響もあっただろう。その意味では、クロス円波乱相場の行方は、この「欧州通貨の1月リスク」も、もう一つの主役になっている可能性があるだろう。前編では、円とドルの実効相場によって、円、ドル「同時安」が展開したことと、その円とドルの関係は、購買力平価から見たら円安・ドル高の限界圏に達しているということを確認してきた。このような見方からすると、円安とドル安のどちらが限界かといえば、円安という結論になってしまう。FX
しかしそうならないなら、それは円安・ドル高の限界水準が修正される場合だ。つまり円安・ドル高の限界と一致してきた購買力平価が一段と円安・ドル高に向かうかということだが、結論的に言えば難しいと思う。購買力平価が円安・ドル高に向かうかを考える上での目安は物価である。そもそも購買力平価とは、物価を基準とした為替の適正水準を求める考え方だ。インフレとはモノの価値が上がることだから、その反対におカネの価値は下がる。したがって、より物価上昇率が大きい国の通貨は下落する。 このように考えると、過去20年間、円安・ドル高の限界水準となってきた購買力平価が一段と円安・ドル高に向かい、円安・ドル高の限界圏がさらに広がる可能性があるかは、日本が米国よりインフレになるかが鍵になっていることがわかるだろう。
では、日本はインフレになるだろうか。インフレになるのは、原則景気回復局面だ。したがって、日本がインフレになるかということは、景気回復がさらに続くかといったこととほぼ同じ意味になるだろう。
そこで、あらためて、日本の景気回復はさらに続くだろうか。私は難しいと思っている。すでに日本の景気回復は、景気回復ロングランの最高記録、「いざなぎ景気」を更新しつつある。最高記録を更新して、さらに1−2年も回復が続くといったことは果たしてあるだろうか。
いずれにしても、日本の景気回復が今回記録的なロングランとなってきた背景には、米国を中心とした世界的な景気回復の長期化があった。世界景気は2002年から回復が続き、すでに4年以上も続いてきた。ただ、これについてもさらなる回復継続はさすがに微妙な段階に入っている。
下グラフは、米景気を示す米鉱工業生産と原油価格(WTI)の関係を見たものだ。両者は高い相関関係が続いてきたことがわかるだろう。2002年から米景気回復が続く中で、原油価格の歴史的上昇相場展開となってきたことが再確認できるだろう。
ところで、そんな両者の関係がダイバージェンス、つまり最近になって分裂気味になっている。夏以降、原油価格が急落したのに対し、米景気は「高止まり」となっているわけだ。原油価格急落が正しいなら、米景気はそろそろ減速へ急転換するタイミングが近づいているということになる。
このように米景気、世界景気が減速に転換したら、グローバリゼーション、世界経済の地球化が強まる中で、日本だけ景気回復が続く可能性は低いだろう。日本が景気減速に転換したら、その中でインフレになる可能性は低い。インフレにならなければ、円安・ドル高の限界と一致してきた購買力平価が一段と円安・ドル高に向かうことはないだろう。
そうであるなら、円安・ドル高はやはり終わりに近いという結論は変わらない。最初の議論にもう一度戻れば、2006年を通じて展開してきた円とドル「弱さ比べ」の決着は、円反発、ドル続落といった方向へ向かう可能性が高いということになるだろう。2006年は、円とドル「同時安」の一年となった。この結果、米ドル以外の通貨に対する円相場、「クロス円」と呼ばれるユーロ円やポンド円などが軒並み大幅上昇となったわけだ。ではこのような円、ドル「同時安」、クロス円上昇相場は2007年も続くだろうか。私はいよいよ円、ドル「弱さ比べ」が雌雄を決するタイミングが近づきつつあり、それは円高という結論に向かう可能性が高いのではないかと思っている。通貨の総合力を示すのは実効相場である。そんな実効相場を主要通貨について調べてみると、2006年に最も下落したのは円と米ドルだった。逆に、実効相場が最も上昇したのは英ポンドとユーロだった。このように見ると、2006年中にユーロ円、ポンド円が大幅上昇したのは当然だということがわかるだろう。FX
では、このような円、ドル「同時安」はいつまで続くのだろうか。それを考える上で、もう一つ別の実効相場を見てみよう。米ドルについては、FRB(米連邦準備制度理事会)算出の実効相場(グラフ1参照)、そして円については日本銀行算出の実効相場だ。
これを見ると、ドル実効相場は史上最安値更新寸前のところまですでに下落している。一方円実効相場も、1998年以来、8年ぶりの安値圏まで下落している。
ここで少し考えてみよう。ドル実効相場が史上最安値圏にあるということは、別な言い方をするとすでにこれ以上は下落したことがないところまで下落しているということ。一方で円実効相場は、8年ぶりの安値圏まで下落したとはいっても、それ以前にさかのぼればもっと下落したことはあったということだ。
ということは、円とドルの「弱さ比べ」は、いよいよドルは下落の限界圏に達したことから早晩反発に転じ、そして円はさらに続落することで、円に軍配が上がる、つまり円安・ドル高に向かう可能性が高いということになるのだろうか。FX
そんな考え方と正反対の結論になりそうな可能性を示しているのが、もう一つのグラフだ。これは1973年以降のドル円と日米卸売物価基準の購買力平価(PPP)の関係を見たものだ(グラフ2参照)。ここで最も重要なのは、過去20年間、購買力平価は円安・ドル高の限界と一致しており、その購買力平価が最近は118円程度で推移しているということだ。
要するに、実効相場で見ると円とドルの「同時安」が展開してきたが、では円とドルの関係で見ると、購買力平価は円安・ドル高の限界圏に達していることを示しているのである。つまり円とドルの関係で見る限り、円安は限界にあり、ドル安は大きな余地が残っているということになる。
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